ドローン測量を支えるRTKについて・GPSとの違い

はじめに

日本では2010年の1億2806万人をピークに人口減少が始まり、同時に極めて速いスピードで高齢化も進みつつあります。その結果2030年までの20年間で、労働力である生産年齢人口は毎年1%近く減少していくことが見込まれています。国土交通省はこの現状を打破するため、建設生産システムの生産性向上こそがこれからのブレイクスルーになると注力しています。

国土交通省は建設生産システム全体の生産性向上を目指す取組みi-Construction等の施策を建設現場に導入することで、建設現場での生産性向上を図り、魅力のある建設現場を目指す取組を促進しています。将来的には生産性を2倍にすることを目指しています。このICT利活用の中に含まれるのがドローンの測量の普及です。

参照:https://www.kentem.jp/product-info/key-icon/

ドローンを産業の分野で活用するためには、飛行の安全性や安定性が求められます。通常のドローンで採用されているGPSは、Google Mapやカーナビなどに採用されているものとほぼ同じ仕組みで、ズレが発生してしまうこともあります(精度は年々向上していますが・・・)。

そのため、GPSの不具合によって、ドローンが人身事故を引き起こすことや重要な建物などを壊してしまう可能性があります。産業用の大型ドローンが測量や点検中にGPSの問題が生じた場合、電線に衝突したり、居住区域に墜落する可能性もあります。

このような課題を解決するために注目されているのが、RTK(Real Time Kinematic:リアルタイムキネマティック)です。RTKは地上に設置する「固定局」からの位置情報データと移動するドローンなど「移動局」のやりとりよって、高い精度の測位を可能にする技術です。

RTKの理解

GPSとRTKの違い

RTKを理解するために、一般的なドローンで採用されているGPSと比較することがわかりやすいので確認しましょう。

GPS:衛生測位システムで、上空にある衛星からの信号をGPS受信機で受けとり、受信者が自信の現在位置を知ることができるシステム
RTK:地上に設置する固定局と移動局の2つの受信機の間で情報のやり取りを行い、2つの受信機の間で情報のやりとりし精度の高い位置情報をすることができるシステム

空撮など一般的なドローンはGPSを使い、測量など高い位置情報の精度を求める場合にはRTKを使用するイメージです。

DJI製のドローンPhantom 4 RTKを使用する場合、固定局となる対応モデルのD-RTK 2モバイルステーションを使い、ドローンと固定局の2つで位置情報を相互でやりとりを行います。

RTKの精度

GPSを使用しているドローンとRTKを使用しているドローンでは、精度は実際のどのくらい違うのでしょうか。

GPSの場合は位置の誤差は2メートル前後出てしまうこともあります。車を運転の際にカーナビを確認していたにも関わらず、曲がる道を過ぎてしまったなどという経験はないでしょうか。これがGPSで表れる誤差の範囲です。これに対してRTKの誤差は数センチ単位になります。

これによりドローンを産業用として利用する際の安定度が高まります。最近ではソフトバンクがRTK技術を用いて誤差1.4cmという精度を達成したというのもニュースになっています。

建設現場のデジタル化も進んでおり、RTKをあらゆる建設現場に採用することで、測量・施工計画・施工管理・出来形検査など建設生産プロセスの最初から最後までをつなぐことも可能となります。

参照:https://smartconstruction.komatsu/dxsc.html

ドローンにRTKを搭載するメリット

測位の正確さ

RTKを搭載したドローンは数センチ単位で現在位置の測位を行うことが可能です。これにより産業用途において、測量の際にドローンとSfMソフトウェアを使用し建築現場の距離や対象物の大きさを計測することが可能となります。

RTKを用いた技術は、ドローンのみではなくトラクターやショベルカーなどにも搭載されます。

コマツが行うSMART CONSTRCUTIONでは、人が操作しなくてはいけないトラクター作業を自動運転技術とRTKを用いて、現場での作業を全て自動化する構想が着実に進んでいます。これにより、今までよりも生産性と安全性を高めることが実現可能となります。

その他にもドローンを使った物流も可能になります。ドローンを使った物流は、民家の上空を飛行したり配達先に荷物をピンポイントで届けなくてはいけません。その際に求められる技術がより正確な測位となります。

H高度計算の正確さ

ドローンは高度を計測するために気圧センサーを使用します。そのため、長時間の飛行の後など気流の変動に直面した場合、DJI GOに表示される高度データが不一致する可能性があります。

しかし、RTKのシステムを用いればより正確な高度計算が可能となり、誤差1cmまで低減できます。これにより、産業分野でのプロが信頼できるデータの取得が可能となります。

P4RTKの講習紹介

UTCプログラムではPhantom 4 RTKとD-RTK2を活用した、正しい測量手法を学ぶことのできる公式トレーニングプログラムを行なっています。

写真測量に関する知識を始め、機体特性、自動飛行、3次元データ作成のためのソフトウェアの使い方など、実践的な測量方法を体系的に習得することができます。これらを学ぶことにより、実際の現場で高精度かつ安全な空撮から、撮影写真から3次元データの作成まで包括的に実施できるようになります。

主な講習内容

  • 写真測量・SfM概論(基礎知識)
  • 様々な測位方式
  • Phantom 4 RTKおよび関連機器の概念と使用方法
  • GS RTKアプリの使用方法
  • 3次元データ解析ソフト「KKC-3D」「Pix4Dmapper」の使い方
  • 国際航業による精度検証

おわりに

RTKの基礎に関してご理解いただけたでしょうか。

現在位置を高精度に取得するRTKは今後の産業分野で重要な役割を担います。ドローンの安全性とRTKに関する深い知識を身につけた後、産業分野でのドローンの使用を強く推奨します。

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